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浦和地方裁判所 平成8年(行ウ)32号 判決 1998年7月27日

主文

一  本件訴えをいずれも却下する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  原告

1  被告らは、連帯して、埼玉県に対し、金一三一〇万二三九〇円及びこれに対する平成八年一一月一〇日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

二  被告ら

(本案前の申立)

主文と同旨

(本案についての答弁)

1 原告の請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、埼玉県の住民である。

2  埼玉県は、平成七年八月、埼玉県議会議員福野幸央ら六名(以下「視察議員ら」という。)が埼玉県議会欧州行政視察旅行を実施するに当たって、旅費等合計一三一〇万二三九〇円の公金(以下「本件公金」という。)を支出した。被告土屋義彦(以下「被告土屋」という。)は、埼玉県知事として本件公金の支出負担行為者であり、被告西川治兵衛(以下「被告西川」という。)は、埼玉県議会事務局総務課長として本件公金のうち議員に関する支出命令者兼支出負担行為者であり、被告田島俊秀(以下「被告田島」という。)は、埼玉県議会事務局総務課長補佐として本件公金のうち随行員に関する支出命令者兼支出負担行為者であり、被告島野實郎(以下「被告島野」という。)は、埼玉県議会事務局長として被告西川及び被告田島の統括管理者であった。

3  視察議員らは、埼玉県議会欧州行政視察団として、平成七年八月二一日から同年九月九日までの二〇日間にわたって、オランダ、ドイツ、イタリア、スイス、ポルトガル、フランス及びイギリスを訪問し、これに随行員として埼玉県議会事務局議事課課長補佐渡辺春男(以下「随行員渡辺」という。)が随行した(以下「本件視察旅行」という。)。

4  本件公金の支出の違法性

(一) 本件視察旅行は、次のとおり、その実態は単なる観光旅行であって、視察とはいえないから、これに対する本件公金の支出には社会通念を逸脱し、地方財政法四条一項、地方自治法(以下「法」という。)二条一三号に反した違法がある。

(1) 本件視察旅行は、その全日程二〇日間のうち、市内観光が四日あるほか、八日間実施された公式訪問の各半日は全くの観光であるなど観光旅行である。

(2) 本件視察旅行における公式訪問のうち、平成七年八月二二日のオランダ国会訪問は、国会が閉会中であったので建物内に入れず、外から単に写真を撮影したというものであり、同月二四日のドイツ・ブランデンブルグ州政府訪問も、手紙を渡して記念写真を撮影したに過ぎず、同月二五日のオリンピコスタジアム見学に至っては、専らサッカー場を見学し観戦しただけにほかならない。また、平成七年九月四日の世界刑事警察機構訪問は、TGVに乗るためにわざわざ迂回してリヨンを訪れることに主眼があり、この訪問はそのついでに行われたに過ぎず、同月五日のパリ・イヴリー浄水場の見学は、わずか一時間程度現地を視察し、直ぐにキャバレーであるムーランルージュ見物に出かけている。その外の公式訪問も、在住の日本人の職員から事情の説明を受けるか、あるいは現地の日本大使館を訪問したものに過ぎず、本件視察旅行における公式訪問は、すべて日本にいても用が足りるものばかりであって、高額の公金を支出してまで行う必要性は全くない。

(二) 仮に、本件視察旅行全体について違法といえないとしても、本件公金の支出中、少なくとも、次の(1)ないし(3)の支出合計二〇〇万二四〇〇円については、裁量権限を逸脱しており、違法である。

(1) 増額調整の違法

宿泊費・日当等は県議会の報酬及び費用弁償等に関する条例により定額で支給される旨定められているところ、旅行会社の見積もりによれば、本件視察旅行の宿泊実費及び食事実費の合計が一人当たり六二万七三〇〇円、通訳・ガイド料、添乗員経費、成田空港使用料及び空港税の合計が四一万二〇〇円と見込まれ、前記条例に基づく各議員ら一人当たりの日当、宿泊料及び支度料の合計額六四万六九四〇円並びに随行員渡辺に支給される職員の旅費に関する条例に基づく日当、宿泊料及び支度料の合計額四八万五六三〇円を上回っていた。そこで、被告らは、職員の旅費に関する条例四〇条に基づき旅費の調整として、議員に一人当たり六万六六〇〇円、随行員に二〇万七七〇〇円、合計六〇万七三〇〇円の増額調整をした。旅費は、条例により定額で定められているのであるから、増額調整をするには合理的な理由が必要であるが、本件視察旅行においては、いわゆる五つ星クラスの最高級のホテルで宿泊し、高級レストランで食事をとるために必要な費用を捻出するために増額調整をしたに過ぎず、何ら合理的な理由はない。

(2) 日本人との会見の通訳について

日本人との会見に通訳は不要であり、ガイドで足りるはずであるにかかわらず、本件視察旅行においては現地で通訳を手配し、平成七年八月二八日、同月三一日、九月四日、同月七日の四回にわたって通訳料が、また、八月二八日には一日に一回分で足りるはずなのに二回分もの通訳料がそれぞれ支払われている。したがって、通訳とガイドとの料金差額一日当たり三万五〇〇〇円の四回分と通訳料七万七〇〇〇円との合計二一万七〇〇〇円は、いずれも不要であり、違法な支出である。

(3) 全日観光の日当等について

土曜日及び日曜日は、公共機関等は休日であるため、本件視察旅行においても公式訪問はせず、このうち平成七年八月二六日、二七日及び九月三日は一日中観光をしている。また、同年八月二九日は平日であるが、やはり一日中観光をしている。したがって、この四日間の費用として支出した一一七万八一〇〇円は、社会通念上何らの必要性もない不要な公金支出であり、違法である。

5  原告は、本件視察旅行が全体として違法であるとして本件公金の支出全額につき損害賠償を求め、被告島野、被告西川及び被告田島の行為につき平成八年八月一三日埼玉県監査委員に監査請求をしたが、同年一〇月七日付けで棄却された。

6  よって、原告は被告らに対し、法二四二条の二第一項四号に基づき、埼玉県に代位して、被告らの右違法行為により埼玉県に生じた前記損害の賠償を求める。

二  本案前の抗弁

1  被告土屋

原告らは、被告土屋については本件監査請求の対象としていないから、被告土屋に対する訴えは、監査請求を経ていないので、不適法である。また、議会における支出負担行為及び支出命令の権限は、埼玉県財務規則(以下「財務規則」という。)四七条により、埼玉県知事から部長に相当する埼玉県議会事務局長及び課長に相当する埼玉県議会事務局総務課長に委任されているので、被告土屋は法二四二条の二第一項四号の「当該職員」に該当せず、同人に対する訴えは不適法である。

2  被告島野

議会における支出負担行為及び支出命令の権限は、財務規則四七条により、埼玉県知事から部長に相当する埼玉県議会事務局長及び課長に相当する埼玉県議会事務局総務課長に委任されているが、本件視察旅行に係る議員ら及び随行員の旅費は、総務課長である被告西川に支出負担行為及び支出命令の権限が委任され、同人が議員らの旅費につき支出命令を行い、随行員渡辺の旅費については、課長権限が課長補佐へ専決指定されているため、右委任に基づき、埼玉県議会事務局総務課長補佐たる被告田島が支出命令を行った。

したがって、議会事務局長である被告島野には、本件公金の支出については、全く権限が委任されていないから、同人は法二四二条の二第一項四号の「当該職員」に該当せず、同人に対する訴えは不適法である。

3  被告西川及び被告田島

被告西川は、議員らの旅費について、被告田島は随行員渡辺の旅費について、いずれも平成七年八月九日、支出負担行為及び支出命令をした。

本件監査請求は、被告西川及び被告田島の各財務会計上の行為である支出負担行為及び支出命令を問題とするものであるから、監査請求の期間は、右被告らの行為をした平成七年八月九日から起算すべきである。そうすると、本件監査請求が行われた平成八年八月一三日は、いずれも一年の監査請求期間が徒過した後であるから、本件監査請求は不適法である。

4  原告主張の正当な理由についての反論

原告は、埼玉県行政情報公開条例により、本件視察旅行に関する支出命令書・見積書・精算書等を、平成八年二月一三日には入手していた。したがって、原告は、遅くともこの時点において、本件公金支出に係る負担行為及び支出命令の内容を知り、又は知ることができたから、原告には、右支出負担行為及び支出命令のあった日から一年を経過した後に、本件監査請求をしたことについて、法二四二条二項ただし書の正当な理由があるとはいえない。

三  本案前の主張に対する原告の反論

1  本件公金の支出は、支出命令から始まって現実の支出までの一連の手続の下に行われているから、特に内部行為の是正を求めることが明らかでない限り、あえて起案、決裁、支出命令といった内部行為ごとに財務会計行為を寸断することは許されず、全体として一つの行為とみるべきであるから、本件監査請求期間の起算日は、本件公金の支出が現実にされた平成七年八月一八日である。

また、公金支出が概算払の方法によって行われる場合には、概算払のあった日が監査請求の期間の起算日となるところ、本件の概算払は平成七年八月一八日であるから、この日が起算日となる。

したがって、いずれにしても、本件監査請求は期間を徒過していないので、本件訴えは適法である。

2  監査委員による実体的審査

法二四二条の二第一項は、住民監査請求を経た場合に限り住民訴訟を提起できると規定するところ、本件では監査委員が適法な監査請求であることを前提として実体的審査を行っているから、監査請求の要件は適法に具備されていたとみるべきである。また、被告らは、本件訴訟において、裁判所が釈明するまでは監査請求の要件について何ら争っていないのであるから、裁判所は監査請求前置について当事者の見解を尊重すべきであり、これと異なる判断をすることは許されない。

3  正当な理由

仮に本件監査請求期間の起算日が平成七年八月九日であり、本件監査請求が期間を経過していたとしても、原告には法二四二条二項ただし書の正当理由がある。

すなわち、原告は、平成八年一月五日、埼玉県情報公開条例に基づき、埼玉県総務部公文書センター所長に対し、本件視察旅行に関わる支出命令書、見積書、精算書等の公開を求めたところ、同年二月一三日、右文書の開示を受けた。そこで、初めて本件視察旅行の全容とその違法性が判明したので、原告は相当な期間内である平成八年八月一三日に本件監査請求を行ったのである。

四  請求原因に対する認否及び被告らの主張

1  請求原因1ないし3の事実は、認める。

2  請求原因4のうち、各日程、本件視察旅行の宿泊等の実費、条例上の宿泊料等の金額、条例に基づき増額調整したことは、いずれも認め、その余は争う。

3  請求原因5の事実は認める。

4  被告の主張

本件視察旅行は、社会通念上許容されるものであり、埼玉県議会の裁量権を逸脱していないから、本件公金の支出は違法ではない。

(一) 海外視察を行う必要性

今日、地方行政においても、その内容は多岐にわたり複雑となっており、議会における審議も広範な事項に及び、国際的な視野に立った判断が求められるようになってきている。それゆえ、議員にも広い知識と教養、国際的視野が要求され、そのため地方議員の海外視察も必要である。したがって、普通地方公共団体の議会が当該普通地方公共団体の議決機関として、その権能を適切に果たすために必要な限度で、合理的な必要性があるときは、その裁量により職員を海外に派遣することができるところ、本件視察旅行には、以下のとおり合理的な必要性がある。

(1) 埼玉県における行政施策の推進

埼玉県が直面する諸問題について、日本とは異なる歴史や文化を背景に持つ諸外国の事情を、議決機関としての地方議会議員が視察することは、右問題の解決に必要な知識・能力の向上のため必要である。本件においては、埼玉県がワールドカップの会場予定地に立候補していたので、イタリアのワールドカップサッカー会場の視察をし、スイスにおいて世界保健機構での保健医療分野の国際協力事業の視察をし、更にフランスにおいては、埼玉県で国際的犯罪が増加していることに鑑み国際刑事警察機構における警察活動の視察をしたほか、公共上水道の整備状況の視察などを行った。

(2) 外国との親善友好

議員らは、埼玉県と友好の確認書に調印したドイツ国ブランデンブルグ州を表敬訪問し、議会及び政府関係者との間で友好親善を図った。

(3) 地方議会の果たすべき役割の強化

地方における国際化社会の到来に伴い、海外の行政事情を視察することは、地方議会の自治、自立権能に基づく議会運営において、有益である。実際に、オランダにおける議会制度及び行政機構の視察、スイス・世界貿易機関での世界経済についての調査、スペイン及びイギリスでの国内政治・経済状況の調査など、各国における国内の諸事情を視察し、議員としての見識を広めることは、議会活動において、その成果を発揮し、地域住民の福祉の向上に寄与する。

(二) 本件公金支出の個別の適法性について

原告は、本件公金中、増額調整等について違法を主張するが、以下のとおり、いずれも違法性は認められない。

(1) 増額調整について

宿舎は、州知事や州議会議員等の要人を招待したり、会議の場所として使用される可能性があるため、議員のオフィスとしての性格も有しているから、議員の格式に保ち、これに相応しいものであることが必要である。また、諸外国における治安面も考慮して、安全が確保でき、危機管理体制が整備されていることも必要である。本件視察旅行において宿泊費が高額となったのは、右の条件、基準を満たす宿舎を選択した結果である。

また、食事は、旅費条例上は、宿泊費に朝食・夕食代が含まれて算定されているが、右のとおり、議員として相応のホテルを確保するため、宿泊料及び日当を充てても不足が生じ、食事代を賄うことができないので、旅費の増額調整をしたもので、食事代を二重に支給したものではない。増額調整は、職員の旅費に関する条例四〇条に基づき埼玉県知事と協議をした上で適正に行った。

(2) 日本人に対する会見での通訳について

議員らが説明を受ける場面では、現地外国人スタッフやビデオなど外国語での説明があることを想定し、原則として通訳を付けている。事務手続としては、まず訪問先を特定し、次に旅行会社を通じて相手方に現地説明員の確保を依頼するが、説明員が誰になるかが直前にならないと分からないこともあるし、仮に一応決まっていても、相手の都合により変更になることもあるので、視察の効果をあげるため、通訳を確保するのである。したがって、結果的に現地の日本人スタッフから説明を受けたからといって、通訳を付けたことが違法となるものではない。

(3) 全日観光の日当等について

土曜日及び日曜日に実施した市内等の視察については、住民の利用度が高く公共的色彩の強い美術館、博物館、公園等は休日でも開かれており、その運営状況及び集客のための観光資源の活用状況を視察したり、外国の文化遺産に接することは議員の見識を高めるためにも必要である。また、これらは、特色ある地域作りを進めていく埼玉県にとって重要な課題である。なお、そもそも旅行命令中には休日の概念はなく、休日も有効に過ごすことが必要であり、それに伴う支出は適正である。

(三) 職員に対し損害賠償を請求する場合には、一般不法行為の特則として職員に故意または重過失が要求されているところ(法二四三条の二第一項一号、三号)、被告西川、田島のいずれにも故意や重過失はない。

第三  証拠(省略)

理由

一  請求原因1ないし3の事実は、当事者間に争いがない。

二  そこで、まず本案前の主張について判断する。

1  被告土屋に対する訴えについて

本件監査請求において、原告が被告土屋を相手方としていなかったことは、当事者間に争いがないから、原告の本件訴えのうち、被告土屋に対する訴えは、その余の点について検討するまでもなく、監査前置主義を定めた法二四二条一項に反しており、その欠缺は補正することができないから、却下を免れない。

2  被告島野に対する訴えについて

本件訴えは、法二四二条の二第一項四号所定の代位請求住民訴訟の一類型である「当該職員」に対する損害賠償の請求であるところ、右にいう「当該職員」とは、当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するものとされている者及びこれらの者から権限の委任を受けるなどして右権限を有するに至った者をいい、およそ右のような権限を有する地位ないし職にあると認められない者はこれに該当しないと解される。

これを本件についてみると、乙第一号証によれば、埼玉県財務規則二条、四七条及び別表第二によると、旅費の支出は、長たる埼玉県知事から埼玉県議会事務局総務課長に対し直接権限が委任されており、埼玉県議会事務局長である被告島野は、本件公金の支出について何らの権限も有していないから、原告の本件訴えのうち被告島野に対する部分は、被告適格を欠き、不適法であって、却下を免れない。

3  被告西川及び被告田島に対する訴えについて

(一)  監査請求期間の起算点について

(1) 前記争いのない事実及び甲第二、第三号証によれば、被告西川は埼玉県議会事務局総務課長として本件公金支出中、議員らの旅費合計一一五五万三五二〇円につき、また、被告田島は、埼玉県議会事務局総務課長補佐として本件公金支出中、随行員渡辺の旅費一五四万八八七〇円につき、いずれも平成七年八月九日、支出負担行為及び支出命令を行ったこと、これを受けて埼玉県出納局審査課において専決指定を受けていた同課課長補佐高橋が支払決定をし、同月一八日、議員ら及び随行員渡辺に対し、右各金額が支払われたことが認められる。

(2) ところで、原告は、本件監査請求の期間の起算点に関して、本件監査請求の対象となるべき財務会計行為については、右起算点は現実に支出がされた平成七年八月一八日であると主張する。

しかしながら、原告が被告西川及び被告田島を相手方として住民監査請求及び住民訴訟の対象となしうる事項は、右被告らの関与した行為に限られるところ、右被告らの行為とは、前記認定のとおり、平成七年八月九日の債務負担行為及び支出命令であるから、右被告らに対する本件監査請求の起算点は、右被告らの行為の日である平成七年八月九日であって、その日から一年を経過した後である平成八年八月一三日にされた本件監査請求は、その期間を徒過してされたことは明らかである。

(二)  正当な理由の有無について

甲第一ないし第七号証及び弁論の全趣旨によれば、原告は、平成八年一月五日、本件視察旅行に関する情報公開請求を行い、同年二月一三日に本件視察旅行に関する日程表、支出負担行為兼支出命令書、旅費の調整に関する調書及び見積書の開示を受けたこと、したがって、原告は、遅くとも同日、本件視察旅行に対する本件公金の支出の存在及びその内容を知ることができたと認められる。そして、本件監査請求がこの日から六か月経過した平成八年八月一三日にされたことは前記説示のとおりである。

右によれば、原告には一年の監査請求期間経過後に本件監査請求をしたことにつき、法二四二条二項ただし書にいう「正当な理由」があったということはできない。

(三)  したがって、原告の被告西川及び被告田島に対する本件訴えは、適法な監査請求を経ていないものとして不適法といわなければならない。

三  よって、本件各訴えはいずれも不適法であるからこれを却下することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第六一条を適用して、主文のとおり判断する。

(口頭弁論の終結の日 平成一〇年五月一一日)

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